東京オリンピックを数年後に控えた昨今、民泊（みんぱく）と呼ばれる新たな宿泊形態がメディアに取り上げられるようになりました。
おそらく、テレビなどでこの単語を耳にした方も多いのではないでしょうか。
airbnb（エアビーアンドビー）という世界規模で展開される宿泊場所の提供ウェブサイトも台頭したことで、その波は日本にも着実にやってきています。

今回は、民泊という宿泊形態について、その背景に関わる内容をご紹介していきたいと思います。

言葉少なな説明をするなら、民家に宿泊する、ということです。
しばし「ホームステイ」と同じ意味で捉えられることもあるようです。
民家を所有する人に何らかの資格は必要ありません。
完全に一般の方が、個人の意思で旅行者に対し宿を貸し出すのです。

遥か昔、この民泊自体は珍しいものではなかったと言います。
電車などの交通整備も存在していなかった時代、旅途中の者に無償で泊めてあげる行為自体は、かつて他者を思いやる日本ではままあることでした。

また、近年では農業体験などで田舎に泊まることもまた民泊であり、友人宅で宿泊することも民泊であるなど、「民泊」の定義は非常に広いものとなっているのが現状です。

しかし現代日本における民泊は、昔の意味合いとは大分異なる使い方をされ始めています。
それが民泊の広まった所以でもあり、今や民泊は無償ではなく有償で行われるビジネスとなっているのです。

その背景には、外国人観光客の増加がまず挙げられます。
ここ数年のデータを見てみると、年々外国人観光客が増加していることが見て取れます。
また日本自体が外国人観光客を増やす取り組みをしているため、尚のこと外国人観光客が増え続けている、というわけです。

そうなると、増え続ける外国人観光客が必要とする場所は宿泊施設になりますが、ここで１つの問題が発生します。

日本国内の宿泊施設自体が、観光客の数に対して不足しているのです。
これで「宿泊施設がないから……」という理由で日本への観光を敬遠されてしまったら、折角の取り組みも無駄になってしまいますよね。
そこで民泊の登場です。
民家は人の多くいる場所に必ずある建物ですから、観光目的の人々にとっては周辺をぶらぶら散策しやすい、最高の宿泊場所になり得ます。

こういった背景に加え、２００８年に設立されたairbnb（エアビーアンドビー）と呼ばれる海外のサイトが、民泊流行の火付け役となりました。

airbnb（エアビーアンドビー）は、宿泊施設や民宿を貸し出す人向けのウェブサイトです。
サンフランシスコに本社を置くこの私企業は、民泊という新たなビジネス形態を世界に広めた存在と言えます。

airbnb（エアビーアンドビー）のウェブサイトでは、宿泊を目的とするユーザーと宿を貸し出すユーザーがそれぞれairbnb（エアビーアンドビー）に登録し、身分証明書のスキャンなどの過程を踏むことでそのサービスを使用出来るようになります。

宿を貸し出すユーザーは価格や宿泊の際のルールなどを決めることが出来、実際その宿に泊まったユーザーはその宿の評価などを行い、その評価でほかのユーザーが善し悪しを判断する、といった具合です。

airbnb（エアビーアンドビー）の存在が皮切りとなり、民泊のブームが本格的に到来したわけですね。

今回は民泊流行の背景についてお話してきました。
現在では民泊に対する規制緩和の動きも見られていますが、それでも知識なしで行動に移してしまうと違法行為により罰せられてしまう可能性がある、まだまだ問題の多いビジネスです。
数年後に開催される東京オリンピックまでに、外国人観光客は更なる増加の一途を辿ることが予想されます。
これをビジネスチャンスと捉えるのか、それとも治安悪化の要因と捉えるのかはまた人それぞれであり、今後の課題にもなるのでしょうね。