正規品との違いとリプロダクト品の問題点
LC2は同じデザインに見えても正規品とリプロダクト品とがあります。
それぞれ市場に出回っていますが、主に次の3つの要素において大きな違いがあります。
価格
正規品は素材へのこだわりが強く、オリジナルデザインのライセンスをもってつくられるため設計時の素材やデザインに忠実に沿った形で製作されます。
設計者であるデザイナーのデザイン意図を最重要視するため、素材や加工といった点でコストを抑えるという考えは基本的にありません。そのため本体価格はそれなりのものになります。
対してリプロダクト品は、意匠権が切れたデザイナーズ家具を大量生産したものをさします。
デザイナーのデザイン意図を踏まえてできるだけ忠実に再現した形で製作しますが、内部の構造や使用する素材についてはコストを抑えるために相応の素材を代用することがほとんどです。
大量生産することで製作コストも削ることが多いため、正規品より総じて安くなります。
品質
正規品は選び抜かれた材料を使って熟練した職人が製作し、徹底的に品質チェックを受けて合格したものだけが販売されます。
そのためどの商品も高品質です。耐久性が高く、適した手入れを続けながら使えば何十年も使い続けることができます。
対してリプロダクト品は、使用する素材をデザインが一見変わらない程度に安価な素材に変更したり、人件費が安い国の工場でまとめて生産する形をとるため、耐久性は正規品より劣ることが多いと言えます。
またソファであれば座り心地や張地の感触にも影響を与えます。
アフターメンテナンス
正規品は高い品質でつくられていることでメンテナンスをしながら長年使い続けるというコンセプトで製作されています。
ソファでいえばクッションの交換や張地の打ち直しなどについて保証がつけられ、購入後数十年経っていてもメンテナンスが可能です。
リプロダクト品にはこうしたメーカーからの長期間保証はつけられていません。
あるとすれば製作メーカーや販売店がつけた短期間の保証やメンテナンスサポートです。
何十年もメンテナンスをしながら使い続けるというコンセプトで製作されていないため、傷みや汚れなどがあったら保証内での修理か買い直しとなります。
ル・コルビュジェLC2とは?
ル・コルビュジェがデザインしたソファLC2は、スチールパイプでつくられた三方のフレームに背の部分と座の部分とアームの部分にそれぞれクッションを落とし込んでいくというとても単純な構造を持つソファです。
コルビュジェがデザインした家具の代表としてよく知られており、グランドコンフォート(大いなる快適)という異名をもつほどその快適性には定評があります。
シンプルなフォルムはどのインテリアとも相性がよく、また重厚感も兼ね備えていることから住宅だけでなくオフィスやホテル、公共施設など世界中のさまざまな場所で愛用されています。
LC2は設計されてほぼ100年が経とうとしていますので、現在は意匠権が切れています。そのためどのメーカーでも自由に製作することができます。
リプロダクト品は「再生産品」「復刻品」とも言われ、デザインについては正規品を踏襲していますが、安価で提供できるように素材の質や生産ルートのコストダウンを図りながら生産されるケースが多いようです。
見た目のデザインは正規品と同じように見えるよう製作されるのが基本です。
しかし実際には背部や座部、アーム部に使われるクッション材や全体の張地、フレーム、これらの素材の品質に差があり、結果として正規品とは異なる仕上がりになる場合は少なくありません。
またリプロダクト品の製作メーカーによっては、生産コストを下げるために仕上げや構造の部分の技術レベルが低い工場を使っていることもあります。
このため座り心地や耐久性が正規品とリプロダクト品とでは違う場合も多いでしょう。
本革LC2ソファの詳細はこちら
LC2の正規品の張地は本革ですが、リプロダクト品の張地は合皮が多くなります。
本革と合皮とではどのような違いがあるのでしょうか。
まず本革には次のような特徴があります。
吸湿性や通気性に優れている
本革は牛や豚などの動物の皮を使った天然素材なので表面に見えない小さな孔がたくさんあり、吸湿性や通気性をもっています。
蒸れにくいこともあり、日本の高温多湿の気候には向いていると言えます。
人の肌になじみやすい
本革はひんやりして冷たいというイメージがある人も多いようですが、実際は座った人の体温にすばやくなじむ性質があります。
高級感のある質感を持つ
なめらかさややわらかさなども含めて独特の触り心地の良さや光沢があります。
時間の経過による変化を楽しめる
本革は使えば使うほどこなれてやわらかくなり、色合いも変化します。また傷も時間が経てば味わいとして楽しめる点は天然素材ならではのよさと言えるでしょう。
本革の取り扱い
こうした長所を生かすためには、多少取り扱いには注意しなければいけません。
定期的に革専用のクリームを塗って表面を保護する必要がありますし、直射日光には弱いので大きな窓のそばなどには置かないといった工夫を求められます。
水分に弱く濡れたままにしておくとその部分からどんどん傷んでしまいますから使い方には気を使うことになります。
こうしたこまめなメンテナンスが習慣づくまでは時間がかかりますから、初めは少し面倒だと感じることがあるかもしれません。
さらに、本革はその仕上げ方法によっていくつかの種類に分けられます。
顔料を革の表面に塗布する顔料仕上げは手入れが楽で、水分に強いという特徴があります。傷も入りにくいのですが、傷も味わいのひとつと考える人にとってはむしろ物足りないかもしれません。
顔料は使用せず革そのものを染料で染めるアニリン仕上げは、革自体に染料がしみこむため深い色合いが出やすく、使うほど味が出る本革のよさを最大限生かせます。
手触りもやわらかく透明感が出ますが、傷には弱いという特徴があります。
2つの仕上げを混在させたセミアニリン仕上げは、顔料仕上げとアニリン仕上げのいいところをそれぞれとった仕上げです。
つまり革独特の風合いを出しながら傷や水分にも強い仕上げにできるわけです。
ネックと言えば他の仕上げ方法よりも高額になりがちという点でしょうが、長く愛用したいならこの方法はおすすめです。
次に合皮の特徴を見てみましょう。
比較的安価である
天然素材で確保できる量が限られる本革に比べて、合皮は工場で大量生産できるため価格が抑えやすいです。
また素材を手に入れるのも簡単なのでその点ではコストがかかりません。
手入れが楽
布地の表面に合成樹脂を塗布してつくられるため、汚れや水分に強く本革と比べると手入れしやすいです。
水やコーヒーなどをこぼしてもしみになりにくいと言えます。
また短期的には色の変化も起きないため購入時の状態で使い続けることができます。
色のバリエーションが豊富
合皮は人工素材ですから色をある程度自由に設定することができます。
本革にはない色を出すことも可能です。
こうした長所がある一方で、本革と比べると質感や色合いが劣るという点があります。
微妙なニュアンスが出にくいため経年変化による味わいを楽しむのが難しく、単に古くなったという雰囲気になりがちで安っぽさを感じることになります。
また人工素材のため吸湿性や通気性が低く、表面がべたべたしやすくなりがちです。
さらに同じ場所に座り続けるとすぐへたりを起こしますので、使い方には工夫が必要でしょう。
合皮も素材によって「PVC」と「PU」の2種類に分けられます。
布地の表面に塗布するのに用いる合成樹脂が違います。PVCはポリ塩化ビニールを、PUはポリウレタンを使用します。
PVCはつるつるとした肌触りが特徴で、耐久性が非常に高いです。
カビやダニの発生が少なく汚れや傷に強いので、メンテナンスはほぼ不要です。
しかし弾力性は低く通気性もあまりないため、長時間座っていると体温で蒸れやすいのが難点です。長年使用していると表面が硬くなってくるため座り心地は悪くなりますが、安価なので買い替えは比較的簡単でしょう。
PUはPVCとは違ってやわらかい肌触りが特徴です。
いわゆるフェイクレザーとよばれるのはこのタイプで、本革に近い質感があります。
本革ほどではありませんがPVCよりは通気性は高く、長年の使用で表面が硬くなる可能性も低いです。
湿度には弱く表面が傷みやすくなるのでメンテナンスは空拭きが基本です。
より本革に近い質感や色合いを出せるのはPUの方でしょう。
特にLC2はその高いデザイン性とともに素材のよさが際立つソファですから、質感や色合いが本革により近い方が満足度は高いはず。
人体系家具、つまり人が直接肌に触れる状態で使う家具は長く使用することを想定してつくられます。
ソファも人体系家具ですから考え方は同じです。
リプロダクト品を購入する際は、張地がPVCとPUのどちらなのかを確認して選ぶことが大切ですね。
当店取扱いのLC2商品を徹底解説!
LC2には正規品とリプロダクト品があること、それぞれ部位別に特徴が違うことを見てきました。
つまり、一口にLC2と言っても実は市場には「いろんなLC2」が出回っているということですから、次は購入を検討するにあたって「どこのLC2」を選ぶかということが重要になってきます。
LC2の正規品は、イタリアの家具メーカーで歴史的な名作家具シリーズの復刻にも積極的なカッシーナ社が製造販売しています。それに対してリプロダクト品はさまざまな家具メーカーや販売店が扱っています。
これまで見てきたように単にデザインが同じというだけではなく、毎日使用する家具なだけに、正規品とリプロダクト品のどちらを選ぶとしても耐久性や座り心地、メンテナンスのしやすさなど総合的に判断して選びたいですね。
ここからは当店で扱っているLC2について、さらに詳細に紹介していきたいと思います。
リプロテック商品とは?
品質の高いデザイナーズ家具のリプロダクト品ブランドです。
一般住宅はもちろん、オフィスやハイクラスホテルにも数多く納入実績がある人気ブランドで、国内では設計事務所様やインテリアデザイン事務所様、内装会社様、工務店様といった業者様向けに販売しています。
当社は商社や問屋に中間マージンを支払って仕入れるルートではなく、海外の工場と直接取引する仕入れルートを持っているため、高品質でありながら安価でデザイナーズ家具のリプロダクト品を提供させていただくことができます。
ちなみに当店で取り扱っているLC2のリプロテック商品は、中国深圳にある提携工場で製作しています。
生産体制や商品管理がしっかりしている工場のため商品の品質には自信を持っております。安心してご購入ください。
それでは当店で扱っているLC2シリーズについてそれぞれ紹介していきましょう。